2024年度東大工学部, 阪大基礎工学部, 長岡技大編入体験記その3

| December 23, 2023

こんにちは, iduknです.

今回は, 長岡技術科学大学 情報・経営システム工学分野, 大阪大学基礎工学部 電子物理科学科 物性物理科学コース, 東京大学工学部 物理工学科の自分の編入合格体験記本編第三弾です.

今回は高専5年, 受験当日の自分の体験談を書いていきます.

前回までの記事の内容があるとかなり読みやすいです.

よければ以下の記事も事前にご覧ください.

2024年度東大工学部, 阪大基礎工学部, 長岡技大編入体験記その0
2024年度東大工学部, 阪大基礎工学部, 長岡技大編入体験記その1
2024年度東大工学部, 阪大基礎工学部, 長岡技大編入体験記その2

5年前期~受験まで

4月

病んでいた(前記事参照)自分は家に帰ってからはほとんど勉強をしていませんでした.
その代わりに, やらないことが分かっていたので, 授業中や放課後夕飯までの時間は研究室などに残って勉強していました.
ひたすら物理と英語の過去問をやる→精密に復習を繰り返しました.
英語の分析に関しては, 先輩の解答に加えてchatGPTを多用しました.
それら2つの解答を見比べたり, 参考にして言い回しや単語の特殊な意味を覚えたりしました.
また, 物理の分析の際には先生の教員室に足繁く通いました.
毎日のように教えていただいて, 本当に先生には頭が上がりません.

恐らくこの頃には最新2年分の過去問を残して, 英語8年分, 物理13年分くらいを解いていたと思います.

4月の頭には同級生の進路希望が大方流れてきており, 自分のクラスには進学かつ学力で受験する人が3,4人ほどしかいませんでした.
学年全体で見ても10人いない程度に思われ, なかなかその人たちとも相談したりすることが出来ませんでした.
それらの人とあまり関係値がなかったことや, 邪魔したら申し訳ない, そんな時間あるなら勉強すべきといった自分の心の声などあり(理由が陰キャ, コミュ症のそれ)自分から話しかけることがほとんど出来ず, 寂しがり屋の自分は孤独を感じ, 更に辛くなりました.
(当時、辛さを分かってほしい→同じ経験をしてる人じゃないと共感してくれない→学力受験の人にしか相談できないという論理が働いてた)

孤独を感じる中, 過去問を一通りやり終え, 今後の勉強方針を考えていたところ, 例のdiscord鯖で「阪大基礎工の物理過去問の解答を共有しないか」というお誘いがありました.
解答を確かめたり, 編入について話せる仲間が欲しいと思っていたので, その方と解答を共有するようになりました.

5月

GWはこんこよ24(ホロライブVtuberの24時間配信)やホロライブの切り抜きばかり見て, 例のごとく自己嫌悪に陥っていました.
(GWは自分の受けた大学の場合, 編入前まとまって勉強できる最後の期間なのでまじで活かしてください.)
そして, 5月は病んでいた時期(昨年冬や今春)に決めた予定の影響を色濃く受けました.
(これから起こるイベントを決めたときの自分の考え方として「人生一度きりなのだからできる経験はできるだけした方がいい」というものがありました. 勉強の言い訳にはちょうどよかったのかもしれません. ここから"編入学試験を受ける身としては"これらの出来事を否定的に書くかもしれませんが, 人生の充実度を増やす見地では全肯定です.)

まず, 釧路高専にフィンランドとタイから留学生が来ました.
自分は昨年, 留学を経験した在学生の一人だったことから5月中は国際交流の学生代表のような立ち位置に指名されました.
留学生を歓迎するレクリエーションの企画やレク当日の全体進行などを担当し, 今年度の留学生同士の交流のきっかけの一助になればいいなと思いつつ, 自分の勉強ができていないことに焦りを感じていました. (時間あるときは勉強しないくせに, 時間ないときは勉強できないとかぶーぶー言うのは本当にたちが悪いですね.)
また, その留学生の中には昨年, 一緒に講義を受けたクラスメートもいました.(学生代表を引き受けた理由の一つは彼がいたこともありました.)
3,4月頃(絶賛病み期)に彼が来るとの知らせを受け, 「この経験は一生で受験より数少ない」と考え, 彼を自分の研究室に受け入れることを先生と話して決めていました.
持ち前のとても明るい性格で, 彼が研究室に来たときは研究室が明るくなりました.
一方で, 彼はあまりプログラミングができず,「やりたい研究はない, 簡単なことでいい」と言い, 自分がかなりサポートに回らざるを得なくなりました.
しかし, それはそれとして自分がタイに行った際の恩返しとして, 彼の行きたい場所に案内したいと思いました.
彼は「温泉に行きたい」とリクエストしてくれました.
自動車を持っている友達に相談して, 週末に十勝川温泉に行きました.
自分のリフレッシュになったことはもちろん, 彼がとても喜んでくれて自分も嬉しくなりました.

そしてその次の週, 米津玄師のLIVEを見に行きました(!?).
11月頃(絶賛病み期)に公演の発表があり, 自分は葛藤しました.
高専受験, そしてコロナウイルスによって, ファンになってから, 音楽に興味をもってから5年, 一度も彼のLIVEに参加したことがありませんでした.
しかしまたしても受験近くの日程で, 厳しい選択を迫られました.
悩んだ結果, 「なるべく早く音楽体験をしたほうがいい」, 「この予定を入れたほうが追い込む意味でも, リフレッシュの意味でも勉強に効果あるだろ」という考えになり, 抽選に応募しました.
割とステージから距離のある席でしたが, 生で米津さんの音楽を5年越しに体験でき, とても満足しました.

釧路高専情報工学分野はプログラミングの考え方を理解すれば, 他分野と比べて課題はかなり少なく, 2, 3, 4年と学年が上がるごとに課題に割く時間が減っていきました.
しかし, 5年前期になって必修の激重レポートが降ってきました.
LaTexで数十枚のレポートを3,4週に1本書かなければならず, 5月以降はこの課題に苦しめられました.

そんなこんなで, 5月頃はあまり勉強をした記憶がありません.
阪大の物理過去問はdiscordでちょくちょく共有していたのと, 鉄壁の単語帳はやっていたような気がします.

6月

6月に入ってすぐ, 直近2年分の過去問を解きました.
なんとなく数学7,8割, 物理英語5,6割くらいな出来だった気がします.
阪大の物理も10年分くらいは解いており, 残り一ヶ月だったので初見で解けなかった物理の過去問を復習してました.(物理工学科志望だったので物理が一番まずいと思っていました.)
英語は物理の先生のアドバイスとして「(院試だったら)足切りな雰囲気だからよっぽどひどくなければ大丈夫じゃないか」と言われていたので, こちらも比重少なめで過去問の表現を覚え, 解き直しをしていました.

ここで自分の受験スケジュールを紹介します.
6月最終週末 長岡(土日)
7月1週週末 東大筆記(日)
7月2週週末 阪大(土日)
7月3週週末 東大面接(金)
(北海道からだったので4週連続羽田に飛びました. 覚悟していましたが割としんどかったです.)

このように6月から試験があったわけですが, 直前までレポートと留学生の研究に追われていました.
それらに体力を使ってしまい, 案の定, 家では勉強が出来ず, ずっと自己嫌悪でした.

そんな中, 長岡受験1週間前の週末に一緒に曲を作った友人が家を訪ねてきました.
なんとなく, 近況を話したりしました.
そして, 彼が帰ったあと, テーブルを見るとメモが残されてました.

やればできる
地に足つけて 流れに身を任せろ

この言葉で「これまでの自分の取り組みはそんなに悪くないよな」と自分のことを少し信じることができるようになりました.
この週に面接の対策をし, 長岡受験に望みました.

受験当日1

ここからはそれぞれの大学の数日前からの行動等を書きます.

長岡技術科学大学

土曜日から試験で, 会場の下見をしたかったので, 木曜日の夜に東京まで移動しました.
金曜日の午前中に長岡まで移動し, 同じく技科大を受験する友人に連絡しましたが, 返信がなかったので, 昼過ぎに一人で一度大学を下見しました.
1時過ぎくらいに行きましたが, 特に掲示はなくキャンパスを散策して, 拠点の長岡駅に戻りました.
戻る途中で友人から返信があり, 夕方着くとのことだったので駅ナカのスタバで東大の過去問を解いていました.
彼と合流後, もう一度大学まで向かうと会場入口に当日用の掲示がされていました. (会場は入って正面の建物なので迷うことはないと思います)
写真やメモを取って, 駅, そして近くのホテルに戻りました.
(駅⇔大学間バス 片道約30分380円かかります)


1日目(筆記, 土曜日)

当日(両日)の行き帰りは駅⇔大学間のバスが大量に出ます(釣り銭のないようにとお願いされる).
ですので, そのバス群はバスタをちょっと探せば迷うことはないと思います.
自分はそのバスに乗って, 試験開始1時間以上前に会場に着きました.
かなり時間があったので英単語を勉強していました.

試験は志望分野ごとに違う教室で行われました.
国語からだったのですが, 会場に時計がありませんでした.
(自分が受験したどの会場にもなかった)
自分は腕時計を持っていなかったので, かなり焦りました.(皆さんは用意しましょう.)
国語, 英語が終わった後の休憩時間に購買で腕時計を買い, 午後の数学, 専門(物理)を終えました.
試験に関して特筆することはありませんが, 数学は出題分野に関しては一通り復習することをおすすめします. (例年, 固有値の問題が出ていたっぽいのですが, この年は掃き出し法しか出なかったため. 友人もこのあたり爆死していたっぽい)
あと国語はどうせみんな勉強しないしウェイト低いので他に注力しましょう.

夜は友人と試験について語りながらラーメンを食いました.
数学の答えがあまりにも合わなくてはげました.

2日目(面接, 日曜日)

情報経営分野の面接は2グループに分けて行われました.
面接時間は5分でした.
自分は受験番号が一番若かったので, そのグループのトップバッターでした.
面接官は3人でした.
朝の9時から面接官もエンジンがかかっていなかったのか, ほとんど志望書に書いたことを復唱するだけで終わりました.
(友人は面接で「~の成績が悪いがなぜ悪かったと思う?」と聞かれたそうです.
なんて答えれば良いんでしょうね.)

どの分野も遅くとも昼前には面接が終わると思います.
予定外に早く終わったので, 予約していた東京までの新幹線を前倒しにし, さっさと東京に行きました.(新幹線, 東京の図書館で課題をしばいていました.)

東京大学一次

3年後期で勉強ガチ勢だった友人は技大と同日豊橋技術科学大学を受験していました.
長岡技大受験後, 彼とお互いの試験について話していると,
「行列の指数関数の問題が難しかった」
と話していました.
自分はそのパターンの問題の解法を知らなかったので, 過去問特訓にあった類題を解きました.
試験は日曜日だったので, 前日の午前中に本郷まで行き, キャンパスを下見しました.

下見はすぐ終わり, その後ホテルのチェックインまで駅チカのカフェで過去問を復習しました.
ホテルは機山館に泊まりました.
親が予約してくれたのですが, このホテルは東大合格した先輩も泊まっていました.
また, 近くの神社でお参りをしました.
もはや願掛けでもなんでもやりたくなるものです. そんなこともあり不安はありつつ, 縁起だったり流れいいななんて思っていました.
夕食は近くの定食屋で豚カツ定食を食べました.
バイト(おそらく)の女性がハツラツとしてとても可愛く, 来てよかったと思うほどにテンションが上がりました.
そんでもって美味しかったのでまた行きたいです.

当日

受験の昼ご飯は毎回コンビニで, おにぎり1つ, サラダチキン, クエン酸ゼリー飲料を買っていました.(おにぎり=糖質, サラダチキン=タンパク質, クエン酸ゼリー=疲労回復, 食べすぎて眠くならないように, お腹空かないように丁度いい塩梅を目指しました.)
朝, それらを購入し余裕を持って会場に行きました.
席がかなり狭かったことは印象に残っています.
今年は60名程度の受験生がいました.(単純倍率3倍)
自分が受験前に知りたかった情報を先に列挙しておきます.

  • 教科間の対策時間(数学, 物理間)は回収時間の関係で思っているよりも短くなる.
  • 解答用紙はA3?くらいのでかめの用紙に罫線が引いてあり, 大問1つごとに1枚を使って解答する.
  • 荷物は試験会場の後ろの方に置くスペースがあり, ホテルに預けなくていい.

試験は英語から始まりました.
英語は例年,

大問1: 英文和訳
大問2: 和文英訳
大問3: 長文読解

という構成でしたが, 今年度は,

大問1: 英文要約
大問2,3:同様

と出題の傾向が変わっていました.
記憶が曖昧ですが, 2,300字の日本語で答えなさいみたいな問題が2問くらい出た気がします.
英文を従来よりちゃんと読み込み, それを文章としてまとめるという国語の能力も必要とされ, 少し焦りましたが, なんとなく全部埋めて提出しました.
今後はこういう情報処理能力が必要になるのかも知れませんね.

数学の前に昼食と仮眠をとり, 試験に望みました.
数学の構成は例年通り,

大問1: 微分方程式
大問2: 確率
大問3: 複素関数
大問4: 線形代数

でした.
1,3は一応全て解き(=東大編入標準レベルだと思う), 2は離散確率(大学入試でありそう)のみ解き, 連続確率の方は実力的にスルーしました.
そして, 4の線形代数でなんと行列の指数関数の問題が出ました.
がいなければ合格体験記として自分がこれをかけていなかったかも知れません. (書きながら感謝している)
そのパターンの問題で基本的な問題は解きましたが, その後の楕円体の問題は分からなかった, かつ時間切れで解けませんでした.
ここまで自分なりに悪くないなとある程度手応えを感じていました.

そして, 2教科組が退室し, 物理の試験.(ここで全体の1/3, 20名くらいは退室した?) 例年の構成は,

大問1: 力学
大問2: 電磁気学
大問3: その他

と特に3は運ゲーだなあと受験前思っていましたが, 今年は

大問1: 質点力学
大問2: 剛体力学
大問3: 電磁気学

とまた例年と違う構成でした.

自分は大問1から解き始めました.
が, 小問1の振り子の直交座標の運動方程式を極座標に直す問題が解けませんでした.
ガチ焦り.
慌てて捨て, 大問2を見ます.
力学でした.
大問3を見ます.
電磁気学でした.


終わった

この時点で自分は不合格を覚悟しました.

力学, 電磁気学は毎年必ず出るのでほとんどの人が解けないはずがない.

ましてや, 自分の希望は物理工学科.

毎年2人の枠なのに物理の大問1つ解けない自分が受かるはずない.

絶望.

そうは思いつつ, 与えられた問題を解きました.
解く他ありませんでした.

大問2は円筒の中をくり抜くような問題.
大問3はコンデンサの抵抗と静電容量の関係を考える問題.
どちらの問題も最後に計算結果から考察をするような問題があり, 完答はできませんでした.

大問1は苦しまぎれに自分の思い出せる限りの問題の意図とはずれる解答を書きました.
しかし, 試験終了数秒前の見直しで前の小問の結果を使わずに解ける問題があることに気づき(=正解でもない解答書く無駄な時間が存在していた), 更にショックを受けました.

せっかく英語, 数学は悪くなかったのにな

諦観と絶望とが混在し, 試験終了後はしばらく席を立てませんでした.

なんとかフラフラとホテルに戻り, ベッドに顔を埋めました.
あまりの辛さに, 親友に電話しました.
彼は1年の進振前から同じクラスで, 同じ卓球部だったこともあり, ずっと仲良くしています.

「駄目だったわ」

「まじか」

みたいなやり取りを1時間くらいしていました.
こういうとき, ちゃんと向き合ってくれる友だちがいることって今考えるととても有り難いことだなと思います.

合格を経て自分が過去の自分や後輩に伝えたいこと

(時系列は上と地続きです. 読みづらくなりますが, お話の流れ的にここに挟みます.)

そのうちお腹が空いてきました.
とりあえず, どんだけ落ち込んでても腹は空くものらしいな とかと思いました.
通話を切って, せっかく東京に来たし食べたいものを食べようと思い, 御徒町の蒙古タンメンを一人で食べに行きました.
地下鉄で向かい, 親に落ちただろうと報告しました.
ラーメンは(どうやらたまたま)ほぼ並ぶことなく, 食べることが出来ました.
コンビニのカップ麺しか食べたことない蒙古タンメンでしたが, 麺がダンチだなというのが率直な感想でした.
きっと美味しかったんですが, 行動の情報としてしか覚えていません.

笑顔で受験後大人数で夕食にサイゼに行くなんて陽キャorコミュ強ムーブをしてる受験生ばかりでないことをここに特筆します(個人的な妬み大).
力説したいのは, 東大受験生がそんな勉学, 人付き合い等全般的に能力が高い人ばかりではなく, こんなネットで痛いことばかりしてるこじらせているやばいやつもいるということです.
ネットに書かれていない受験生, 合格生にも彼ら一人一人にストーリーがあるはずです.
ネットで書かれてる受験生の様は必ずしも受験生全員の様相を表してるわけではないはずです.
自分もあくまで一部のサンプルです.
受験が終わって, 自分の努力を認めて欲しい, 後輩の参考になればいい, 承認欲求を満たしたい.
色んな理由で善意も悪意もある中, ネットでそれらをつらつら書いている人々がいて, 受験が迫った後輩がそれを見て, 自分と比較し, 焦り, 下手すれば自己嫌悪に陥る.
恐らくこういった体験談を見て, 安心するなんて人間は少数派な気がします.

編入のことなんて, 田舎になればなるほど, 高専間に交流がなければないほどネットにしか載ってません.
ネットで情報を集めることは大事だと思います.
自分もかなり受験校の編入については調べたつもりです.
ネットのコミュニティに飛び込むことは大事だと思います.
自分は誘いがあればノリました.
そこで確かに出会いもありましたし, 得られるものもありました.
でも, ネットが自分にとっての情報の大部分で, そこに書かれていたのは現役生も合格生も凄いことを簡潔な内容にし, さも,当然でしょ? と言わんばかりの口調のものばかりのような気がしています.
自分はその物差しで自分を測り, 自分を苦しめていました.
そんな物差しの一部になってしまった自分からの言葉など誰が聞くんだとも思っていますが, それでもこの記事で伝えたいことは,

情報は情報としてそのまま受け取る, 比較せず自分のやり方は自分で決める

ということです.
ひょっとしたら自分の記事もどう書いたところで, 受験生からするとそれが成功モデルになってしまい, そして自身が成功モデルになれていなければ自分を卑下するのかも知れません.(逆にこんなゴミクズでも受かれるのかと思っていただけるなら編入なんてその程度に感じてもらったほうがむしろ受かるかもしれないとまで思います.)
でも, 一日一日の積み重ねが0あるいはマイナスでないのなら, 気にせず自分を信じて勉強に取り組んでほしいです.
I am me. You are you.
凄い人たちと勝手に比べて落ち込むとか, 自分は凄い人じゃないしとか思ってたらとても辛いじゃないですか.

自分のメンタルは強い方じゃありません.
受験まではずっと自己否定感も高かったです.
一日に何時間も勉強できることは稀でした.
それらで悪循環になりました.
それで合格した体験談は見たことがほとんどありません.
本当に自分の運が良かったなと思うとともに, ある意味で, 体験談なんか所詮他人のサンプルケースなんだなと合格後には思いました.
こんなことを思うから, 自身を卑下する当時の自分みたいな人に受験を通じて鬱っぽくなってほしくないし, ネットの情報が理由で合格を諦めてほしくないのです.
受験を決めたとき, 何かしらのプラスになる, もしくはマイナスにならない理由や目標があったはずです.
この記事に目を通していただいたみなさんが, そこを目指して, 振り回されずに一つ一つ身につけていくことを心から願っています.
合格したから言えるし, 合格したから説得力のない大それたことを言うのもこのくらいにします.

ちなみにラーメンを食べた後は夜遅くまでカラオケに行き(感情が爆発したからか点数がいつもより高かった), 翌日帰りました.

受験当日2

大阪大学

失意の中, 釧路に戻り, お世話になった先生方に 「(東大)落ちた気がします」と報告しました.
そして, 勉強ガチ勢だった友だちにも事細かに報告.
すると, 彼は
「なんか話聞いてたら受かってる気がするけどなあ」
と言いました.
客観的に判断して, そう思われるならひょっとしたらワンチャンあるか…?とここで初めてかすかな希望が見えました.
確かに英語は恐らくそこまでひどくないだろうし, 数学は実力を出せたので, ワンチャン第2志望のシス創には受かってるかもしれないと思いました.
この時点で火曜日で, 阪大は物理以外対策していなかったので, 慌てて面接対策をしつつ, 同じ失敗をするもんかとやはり物理を解いていました.

木曜日の夜に東京, 金曜日の昼頃伊丹空港に着きました.
ホテルは空港近くでした.
受験地の豊中キャンパスまでは伊丹空港からモノレールで行くことが出来ます.
ただ, モノレールが10分に1本あるかないかくらいの間隔だったので当日は時間調整に戸惑った印象です.
やはり下見に行くわけですが, 7月の大阪は流石に暑かったです.
基礎工学部の建物を確認し, 夕方までやはりスタバで時間を潰しました.
ここで初めて, 数学の過去問に目を通すわけですが, 多変数の微積の定理の使い方を多々忘れていることに気がつきました.
面接もやばいけどそれどころじゃねえと慌てて叩き込みました.

そして, この日はねぽらぼ(ホロライブ)のTwinkle 4 Youのライブがあったとともに小路KOGに出会ってしまいました.
おもしれえおじさんがホロの沼にハマっていく過程が面白すぎてずっと見ていたこともあり, 復習が全然進みませんでした.

1日目(筆記, 土曜日)

睡眠時間が5,6時間ほどしか取れず眠いまま試験に望みました.
会場には先週東大を受けていた人たちも割といて, やっぱりみんな考えることは一緒だなあなんて思っていました.
数学は

大問1: 微積
大問2: 線形代数
大問3: 確率

という構成でした. 例年通りです.
大問2の線形代数はなんとまた行列の指数関数の問題が出ました.
下手したら3週連続で出会ってる人がいるとか今年のトレンドだったんでしょうか.
(後にdiscordでともに物理のやり取りをした方にそれを話すと, 「そこが解けても差が付きづらいですね…」と言われました. 解けてラッキーとか思ってましたが, むしろミスったら終わるわけですね…)
大問1は微分したり積分したり行ったり来たりするような内容だったのですが, 睡眠不足が祟って計算にものすごく時間がかかりました. 結局解ききれずに試験終了.
(これも話していると, 自分が気づけなかった計算テクがあったっぽい)
確率はややこしかったですが, まあ酷くはなかったと思います.

完答はできなかったものの割と自信はありました.
教科間にトイレに行くと「完答出来たわー」なんて声も聞こえましたが, そういう天才と戦ってるわけではないと自分に言い聞かせました.

物理も例年通り,

大問1: 剛体力学
大問2: 電磁気学
大問3: 熱力学

の構成でした.
大問1は円盤を斜面に転がす問題で, ここでも最後に考察のような問題があり, それ以外は解けたと思います.
大問2はソレノイドに関する問題. 問題としてはテンプレだったと思います.
大問3はサイクルの問題だったのですが, 熱力特有の文字の多さに苦しめられたり, 何かを再利用する小問で何を再利用するのかが読み取れず, 完答はお預けかなというくらいの出来でした.

全体的に手応えは悪くはなかったのでそこまで結果を気にしませんでした.

2日目(面接, 日曜日)

完全にホロの切り抜きから抜け出せなくなった自分はこの日も睡眠不足で迎えました.
自分はまたもや分野で面接1発目になりました.
面接官は4,5人ほどだったと思います.

Q. 筆記の出来はどうでしたか

という質問から始まり,

緊張しいなので100%は出せなかったかもしれないです

と多少嘘をついて(実力を出せなかったのは本当)答えました.
次に

Q. 志望動機を教えてください

とお決まりの質問が来たので,

はい, 自分は~~で, 量子コンピュータを研究したく…

と答えましたが, その後の空気は険悪でした.
実は阪大基礎工の当コースは量子情報技術は扱っているものの量子コンピュータに関しては, 研究実績を見るに大学院でしか扱っておらず, きっと「こいつ分かってんのか?」となったのでしょう.
また, 自分の受け答えの曖昧さがそれを加速させていきます.

まず, やたらと

Q. 他にやりたいことないの

と聞かれました.
しょうがなく

物性やりたいです

と答えたら,

Q. 物理以外は

と聞かれました.
なんで聞かれてるのか意図を掴みかね,

経営学とかやってみたいですね

みたいなことを答えた気がします. その後,

Q. 量子コンピュータやるには何の知識が必要だと思うか

と聞かれ,

線形代数とか複素とか確率ですかね

と答えると,

量子力学はどうですか

と言われました. せっかく自分の動機に寄り添ってくれたのに当たり前過ぎて, また寝不足で頭が回ってなく, 面接官の先生に言われる始末…

その通りですね

みたいなことを答えましたが, 更に雰囲気は悪くなります. それから,

Q. 留学で何したの

(多分先生の調査書に書いてあった?)と聞かれ,

CNN(AI画像認識技術)について学びました

と答えたら,

Q. 具体的にCNNの何を学んだの

とかなり突っ込まれました.
(物理の人に伝わるかなあ)とか思いながら

畳み込み演算について説明しました.

そして,

物理はどうやって勉強してるのか

という問いに

ほぼ独学で勉強してます.

と回答しました.
また,

Q. 院に進むのか

とも尋ねられ,

進むつもりです.

と答えると,

Q. 10年, 15年後の自分はどうなっていると思う?

と聞かれました.

場所は分かりませんが研究してると思います

と答えると,

まあ, 生活もあるから実際やってるか分かりませんよ?

なんて辛辣なことも言われました.
それと,

研究するなら発想力とか必要だと思うけど大丈夫?

とかも聞かれたらしいです.(過去の自分が書き残している) なんて答えたか忘れました.
ひょっとしたら他にも何個か聞かれたことがあったかも知れませんが, いずれもいい雰囲気ではありませんでした.

Q.最後に自己PRはありますか

と聞かれました. 企業面接では当たり前なこの質問. 募集要項や編入体験談しか読んでいなかった自分は全く考えていませんでした.
すみません. と言いつつしばらく沈黙していると,

とても奥ゆかしい方なんですね

なんてとんでもない皮肉を言われました.

自分が編入に向けて勉強したこと, 量子力学のシュレディンガー方程式を学び,量子コンピュータについても量子テレポテーションをプログラムで実装したということ, そこから興味のあることは深堀して学ぶことが長所だ

となんとか伝えたいことをこじつけて言いました.
そんな面接の最後には社交辞令であろうこんな雑談が降ってきました.

Q. 大阪の夏は暑いですけど大丈夫そうですか

自分は,

中学の部活で夏に体育館を閉め切って暖房を最大まで上げて半日練習する習慣があったから多分大丈夫だと思います.

と話すと, 面接官の先生方が(苦笑だったが)初めて笑顔を見せました.

試験時間は体感15~20分くらいあった気がしますが実際どうだったんでしょう…

険悪な雰囲気にちょっとまずかったかなあと思いつつ, 大阪人から笑いを取ったということを心の糧に大阪, そして東京を去りました.

東京大学二次

阪大受験の次の日, 午前10時に東大筆記試験の合格発表でした.
授業中でしたが, PCを使っていました.
自分は, 受かっていないだろうと思っていたので, 不合格を受け入れるための心の準備が必要でなかなか10時を過ぎても検索する気になれませんでした.
15, 20分経った頃ようやく見る気になり意識がきゅっとなりながら検索しました.
HPのTOPニュース欄に編入に関するお知らせがなく, ちょっと探してページに辿り着きました.
pdfファイルを開くと, 受験番号がありました.
自分は信じられず, 震えながら年度を確認しましたが, 確かに今年度のものでした.
周りの席の人に身振り手振りで合格を伝えました.
だいぶ挙動不審だったろうに先生は一切無関心でした.
数分後, 授業が終わり自分は「よしっ!!」と渾身のガッツポーズをしました.
みんなが祝ってくれました.
ガチ勢だった友だちは自分を抱きしめ飛び跳ねていました.
自分も言葉にならない叫びを上げ, 抱きしめ返し飛び跳ねていました.
家族にも報告し, 文面上ですごく喜んでいました.

すぐに面接の対策を始めましたが, 自分が第一志望, 第二志望どっちで受かっているのか分からなかったのでどっちも対策する必要がありました.
このとき初めてシス創のことを調べました.
どうやらコース分けがあるらしいとか, それぞれのやりたいこととか阪大の反省を踏まえつつ回答を作り, 木曜日東京に向かいました.

木曜日は阪大と長岡技大の合格発表でした.
最初, 結果をガチ勢だった親友と見たいと思いHPを見るのを我慢していましたが, Twitterを開いてしまい, 昼頃阪大に受かっていることを知りました.
また, 技大は彼と通話し, 無事合格を確認しました.

阪大基礎工に関しては面接はあまり気にすんなってことは言えそうですね.

事前に前回同様, カフェ, 願掛け, 定食屋(バイトさんいなかった)に行き, 受験大学に合格した二報もあって 安心して眠ることが出来ました.

当日(金曜日)

面接は昼からだったので, 午前中はカフェでしこたま回答を頭に叩き込んでました.
そして, 再び工学部棟に向かいました.
一人ずつ試験会場に呼ばれ, いよいよ自分の番になりました.
会場には逆L字に10人程度の面接官の先生が座っていました.

Q. 志望動機を教えてください.

緊張しながら,

第一志望の動機で大丈夫ですか

と聞くと, 先生はニコリと笑って,

大丈夫ですよ

と言ってくれました.
物工で受かってる!!と嬉しくなったことと, 先生方の温和な雰囲気で自分の気持ちは一気に晴れやかなになりました.

志望理由は阪大とほぼ同じく量子コンピュータの研究をしたい

と答えました.

Q. 量子コンピュータの何を研究したいか, 何に応用できると思うか

と聞かれたので,

光量子, AIとかに使えそう

と答えました.
すると,

Q. なんで光量子か

と聞かれ,

今最も盛んな研究かつ, 量子コンピュータの原点は環境問題解決のはずだから, 超電導はエネルギー使いすぎで違うと思う

みたいなことを答えました.(このちょっと後に, 常温の超電導体が発見された(結局違った)というニュースが流れ驚いた.)

Q. 物理はどうやって勉強してるの

情報工学分野なので自学してます. 分からないところは先生に聞いています.

と言うと, おーっ と先生方がリアクションしてくれました.

それから, 海外留学に絡めて,

Q. 語学は得意か

と尋ねられました.

得意ではないですが, だからこそ勉強してます.

と答えると,

TOEICいい点取ってるよね?

と言ってくださり, 自分は自信がなかったことや高い点だとは思ってなかったので

そうですかね…

と答えると, 先生方の間になぜか笑いが起こりました.
しかし, すごい穏やかな笑い方だったので安心しました.

10分足らずで面接が終わり, この雰囲気から合格を確信してキャンパス内でスキップしました.

後日談

約10日後, 授業中に東大の合格発表があり今回は自信があったのでスパスパと確認することが出来, 無事合格していました.

勉強でお世話になった馬市珈琲店のママに合格を伝えると, 泣いて喜んでくれました.
自分の合格をこんなに喜んでくれる人がいるのかと, 受かってよかったなと, 嬉しさを感じました.

合格発表から数週間後, 自分が東大を目指すきっかけになった好きな子にもう一度
告りました.

振られました.

編入生がモテるだのとまやかしを書いたどっかの先輩を一発殴りたいですね.


点数開示がなされ, 物理が思ったよりも取れているなという印象でした.

自分の点数はボーダーギリギリとかなんじゃないでしょうか.
何はとも曲がりなりにもちゃんと勉強して, 受かってよかったなというのが自分の正直な感想です.


以上が自分の編入体験記になります.
参考になっていれば幸いです.
編入体験の記事はもう少し簡潔な速読版だったり, 使った参考書をまとめた記事だったりを書こうと思っています.
力になれることだったり聞きたい話があれば, 各種SNSから連絡ください.

お読みいただきありがとうございました.
最後に, 皆さんが自身を信じて進んでいくことを祈っています.

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